認知的不協和

アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーによって提唱されました。

人が自身の中で矛盾する認知を同時に抱えた状態、またそのときに覚える不快感を表す社会心理学用語。

人間は自分と周囲との環境にズレが生じたり、それまでの自分の行動内容とは矛盾する新しい事実を突きつけられると、不安や不快な感情を引き起こします。

その結果、自分の信念や行動と新しい事実のどちらか一方を否定して、矛盾を解消しようとします。


これを認知的不協和と呼びます。

そのとき、信念を変えることが困難な場合、人は新しい事実の方を否定しようとします。



代表的な良い例がタバコです。


タバコを吸うという行為に対して「タバコを吸うと肺がんになりやすい」という新しい事実が提示されます。
すると、行動と事実の矛盾に対する不快感が起こり、タバコをやめるか、事実を否定することで矛盾を解消しようとします。

しかしタバコに含まれるニコチンには依存性があり、やめるのは困難です。

したがって、事実の方を否定して矛盾を解消しようとします。

そこで「タバコを吸っていても長寿の人もいる」とか「肺がんよりも交通事故で死亡する確率の方が高い」といった理屈を考えます。
しかし認知的不協和の状態にある人はその時点ですでに結論ありきで考えているので、論理的に考えていない可能性があります。つまり頑固になっている状態といえます。

※喫煙を肯定する全ての人が認知的不協和に陥っていると断定するのではなく、認知的不協和が原因の可能性があるということです。




「○○ができない」という自力で変えられない状況下で「むしろ○○しないほうが良いのだ」と現状を正当化する方向に解釈することにより、精神的な負担を軽くする心理現象。

・「○○が手に入らないから○○には価値が無い」
・ダイエットできないから→むしろ食べたいもの食べて早死にしたほうが幸せ
・結婚できないから→結婚にはメリットがないと主張する。
・働けない→働いたら負けだと言う。
・モテない→現実より二次元(アニメ)。



「○○をやめられない」という逃げられない状況下で、「むしろ○○をしたほうが良いのだ」と現状を正当化する方向に解釈することにより、精神的な負担を軽くする心理現象。

・「○○しか手に入らないから○○には価値がある」
・禁煙できない→むしろ喫煙してるほうが調子いい。
・菜食主義耐えられない→むしろお肉も食べないと体に悪い
・ブラック企業勤務→むしろこの仕事が好き


信念が強いほど矛盾した事実を受け入れにくいという心理があります。




有名な例として、イソップ物語のキツネとすっぱい葡萄の逸話が知られる。


キツネが木に実ったおいしそうなブドウを見つけ、食べようとして跳び上がります。
ブドウは高い所にあり、必死に何度跳んでも届きません。
キツネは怒りと悔しさでいっぱいになり、「どうせこのブドウは、酸っぱくてまずいに決まっているよ」と、食べられなかったことを正当化するのです。
多くのキツネが諦めたところに一匹のサルが来てぶどうを手に入れてしまいます。
するキツネは「あんなまずいブドウをとるやつの気が知れない」とぶつぶつ言います。




正当化することで自分を守る防御機能


このような行動を「防御機能」とし

欲しいものが手に入らなかったときに「きっとそれは不幸をもたらすものだから、手に入らなくてよかった」と負け惜しみを言うことで、自分を守る心理。

でも本当は自分の能力が足りず手に入らなかったのは明白で、キツネにもっとジャンプ力か、木に登る能力があれば、そのブドウを手にすることができていたのです。

しかし、それを認めてしまうと、自分の弱点を痛感することになります。
弱点を痛感するのは嫌ですから誰だって逃げたくなるわけです。

だから認めたくないのです。